第17回【補償・保証・保障】

今回は、様々な「ほしょう」についてその違いをご紹介します。

(1)言葉の定義

◆補 償:損失を補って償う事。特に損害賠償として、財産や健康上の損失を金銭で償うこと。
◆保 証:間違いが無い、大丈夫だと認め、責任を持つこと。
◆保 障:ある状態が損なわれることのないように保護し守ること。

この三者のうち、「補償」は「補」と「償」の漢字の意味からしても比較的分かりやすいかと思います。賠償を伴うようなケースで良く出てくる言葉です。
「保証」 は、「保証人」というような意味で用いる場合には、上記の「補償」の意味・用例に近くなることもあるのですが、「品質保証」などと使うように、ある事について大丈夫であるという責任を持つ、というのが本来の意味と言われています。
「保障」は「安全保障」「警備保障」などのように、「大切なものを守る」というような意味で用いられます。

(2)保険と「補償・保証・保障」

生命保険や自動車保険などを検討しているとこの三語をよく目にしますが、保険業界では以下のような使い分けをしています。

<損害保険は補償>
損害保険では通常、被った損害を「補い(おぎない)償う(つぐなう)」ための保険金を支払うため、「補償」の字を使います。

<年金分野は保証>
保険で「保証」が使われるのは、年金分野です。「大丈夫だという証(あかし)を保たせる」意味合いなので、例えば「保証期間付終身年金」なら、保証期間中に被保険者本人が生きていても亡くなっても、その期間中の年金は必ず支払う(責任をもつ)ということです。

<生命保険は保障>
生命保険では、一家の大黒柱の死亡や、急な入院などで生きていく上で「差し障り
(さしさわり)となることから保る(まもる)」ための保険金を支払うため、「保障」の字を使います。

<混在する保険>
「補償」と「保障」が混在するのが、第3分野と呼ばれる保険です。医療保険や傷害保険、介護保険などは、生保と損保の両方が扱っています。そのため、それぞれの保険会社の文化にしたがって、生保は「保障」、損保は「補償」の字を用いる所が多くなっています。
※こうした「保障」と「補償」の違いは、何も生命保険や損害保険だけに限られたものではなく、国の社会保障や労働者災害補償保険法などでも、その保険金の給付方法によって使い分けされています。

言葉の定義と実際の使われ方が必ずしも一致している訳ではありませんが、基本的な整理としては補償・保障は保険金などの金銭で損失を埋める事、保証は役務の提供(メーカーの無償修理など)を受ける事と覚えておくと分かりやすいかもしれません。