今回はLGBTに対する保険業界の対応につき、損害保険における取り組みをご紹介します。
(1)LGBTについて
・LGBTとは、L:レズビアン(女性同性愛者)、G:ゲイ(男性同性愛者)、B:バイセクシュアル(両性愛者) T:トランスジェンダー(心と体の性の不一致)の頭文字をとった、性的マイノリティ(少数者)を表す総称です。
・行政や各企業ではLGBTに対する各種取り組みに着手しており社会的な関心も高まっています。
・保険業界においても、従来と比べ、生命保険の死亡保険金受取人に同性パートナーを指定しやすくする等、取り組みが進められています。
(2)損害保険業界における対応
・生命保険から始まったLGBT対応は、損害保険業界にも広がりはじめています。
・東京海上日動火災保険株式会社は、2017年1月以降に実施する個人向け損保商品改定において事実上婚姻関係と同様の事情にある同性間のパートナーを、原則として「配偶者」に含めることを発表しました。
3)具体的な変更点(東京海上日動の場合)
・現状改定が発表されている火災保険では、例えば以下のケースで同性間のパートナーに関する取扱いの変更が生じます。
―個人賠償責任特約や個人賠償責任包括特約において、同性間のパートナーが被保険者に含まれるようになります。
―免責事由として、同性間のパートナーの故意などによって生じた損害が含まれるようになります。
―家財向けに火災保険をご契約されている場合、生計を共にする同性間のパートナーの家財も補償の対象に含まれるようになります。(その場合、同性間のパートナー分の家財についても、保険金額に加える必要がございます。)
・同性間のパートナーを被保険者に含める場合、ご契約時または保険事故発生時に以下の手続きが必要となります。
―保険会社所定のフォームにより、同性間のパートナーであることの自認、またパートナー関係に関する情報の取得・利用(保険引き受けの判断、保険事故対応、保険金支払いに必要な範囲に限ります。)への同意が必要となります。
※行政が発行した法的な効力をもつ証明書(ex.渋谷区のパートナーシップ証明書)を代替資料とすることが可能です。
―同居の事実を確認するため、住民票の提示が必要となります。
今回は東京海上日動の火災保険におけるLGBT対応を中心にご紹介しましたが、自動車保険等の他の保険種目、また他の保険会社においても同様の取り組みが広がっていくものと予想されます。
LGBTへの世間的な理解は次第に深まりつつありますが、今後も保険業界が率先してその理解を形にし、多様なバックグラウンドをもつ人々がともに安心を享受できる社会が期待されます。
当社では、引き続き本テーマに関する情報提供を行って参ります。