今回は、日常生活で起こり得る事故事例と保険についていくつかご紹介します。
1.自宅で火災が発生し、隣家に延焼した。
Q.日本の住宅、特に都心部では隣り合った家屋が至近距離にある事が多く、一旦火災が発生すると隣家に延焼してしまうという事も少なくありません。
このような場合、火災の原因となった家の住人には賠償責任が 生じるのでしょうか?
A.原則として賠償責任は生じません。
『失火の責任に関する法律』により、失火による不法行為責任については民法709条を
適用せず、失火者に重大な過失※がある場合のみ不法行為による賠償責任を適用する旨が規定されています。これによると、失火者は賠償責任を原則負わないことになりますので、一般的な賠償責任保険では補償の対象外となります。但し、このようなケースでも近所付き合いなどで、迷惑を掛けた相手に何もしないという訳にもいかない場合、火災保険の特約を付帯していれば賠償責任の有無に関わらず相手側の火災保険で不足していた補償金額についてカバー可能です。
※重大な過失とは、例えば、寝たばこによる火災、油入りの鍋をコンロの火にかけて長時間放置した、など。
2.スーパーの駐車場で警備員の指示に従ってバックしたら壁にぶつけた。
Q.スーパーなどの駐車場で警備員や誘導員が駐車場所などを指示する場合に、その指示に従ったことによって自分の自動車を壁にぶつけてしまった、あるいは歩行者に怪我を負わせてしまった場合、誰に責任があるのでしょうか?
A.基本的には自動車の運転者が責任を負います。
上記のようなケースでは自動車保険で対応することとなります。
自動車自体の損害は自損事故まで補償出来るタイプの車両保険、歩行者に怪我を
負わせてしまった場合には対人賠償責任保険にてカバーされます。
3.賃貸マンションのお風呂の排水溝がつまっていたため階下に漏水した。
Q.入居している賃貸マンションのお風呂の排水溝の掃除をしていなかった上、浴槽からお湯が溢れたために階下に漏水させてしまった。
下の階の住人からカーテンや衣類が汚れたため弁償してほしいと言われ、大家さんからは壁紙が汚れたため張替の費用を請求された。火災保険で請求できるのでしょうか?
A.ご自身に所有権のないものについては火災保険の対象となりません。
但し、火災保険の特約でカバー可能です。階下の住人への賠償責任については
『個人賠償責任補償特約』、大家さんへの賠償責任については
『借家人賠償責任特約』で対応できます。
日常生活の中にもさまざまな賠償責任が起こり得ることはご承知の通りですが、上記以外にも最近では自転車による歩行者への傷害などで高額の賠償判決が出ているケースもございます。備えあれば憂いなし、とよく言いますが、皆さんも一度ご自身の賠償責任と保険について見直ししてみてはいかがでしょうか。