海上保険 事例紹介 – カートン

雨淡水濡れ損(Rain & Fresh Water Damage : RFWD)

コンテナで輸送中の貨物に何らかの理由で水濡れが発生。
該当貨物・・・木材、カートン貨物、etc.

1.事故事例

①コンテナの天井部に穴が空いており、穴から雨水が浸入、貨物を濡らした。

天井に穴の開いたコンテナ天井に穴の開いたコンテナ
濡れたカートン濡れたカートン

2.海上保険での対応

  • ①ICC(A)条件で担保される危険であり、お支払いの対象となります。
  • ②ICC(B) /(C) 条件では担保されない危険であるため、RFWD特約の付帯が必要です。

3.補足

  • ・水が輸送中のどのタイミングでどこから侵入したか。
  • ・外装だけではなく、商品まで濡れているか。
  • ・濡れは乾いて損害の判断が難しくなったり、滲んで被害を拡大させる可能性があります。滲んだことにより拡大した損害は保険の対象外ですので、早めに保険会社への通知が必要です。

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盗難・抜荷・不着(Theft, Pilferage, Non-Delivery : TPND)

ここでの盗難は暴力を伴わない窃盗を想定されており、梱包一個ごとの窃盗に限らず、梱包の中身が窃取される場合も含みます。抜荷は梱包の中身が窃取されることであり、梱包の外装に異常があって窃取された形跡のある場合を言います。梱包に全く異常が無く、入れ不足(Short Packing)と判断された場合は抜荷に該当しません。盗難・抜荷は、一体として取り扱われます。
不着は梱包1個ごと仕向地に到着しない場合を言います。積み残しや途中の寄港地で誤って揚げられたり、また仕向地で揚げ忘れられたりして、貨物の行方が分からなくなることが主な原因です。

1.事故事例

  • ①仕向地(揚地)の内陸輸送中にトラックごとコンテナが盗まれた。
  • ②コンテナやシールに異常があり、カートン数量が不足していた(抜荷された形跡あり)。
<盗難・抜荷>盗難・抜荷

2.海上保険での対応

  • ①ICC(A)条件で担保される危険であり、お支払いの対象となります。
  • ②ICC(B) /(C) 条件では担保されない危険であるため、TPND特約の付帯が必要です。

3.補足

  • ・損害の発生場所(保険期間内の事故か否か)が大きなポイントになります。
  • ・コンテナやシールに異常が無いにもかかわらず、貨物の数量が不足していた場合は不積みの可能性が高くなるため(保険期間前/Shipperの積み忘れに該当するため)、注意が必要です。

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不足、数量欠減(Shortage)

ばら積み貨物の量が何らかの原因により減少することを言います。
該当貨物・・・液状、粒子状、粉状 etc.

1.事故事例

積地陸上タンク搬出時と揚地陸上タンク搬入時における液体貨物(バルクケミカル)の数量に差異があり、欠減していた。

2.海上保険での対応

自然の漏出や蒸発、仕出地と仕向地での計量誤差等、一定程度不可避的に発生する不足は通常でも生じる損害(Ordinary Loss)と見做され、ICC(A)/(B)/(C)条件のいづれにおいても免責となるため、Shortage特約が必要です。なお、当該特約には一定率のOrdinary Lossを見込んだ免責歩合(Excess)を付されることが一般的です。

3.補足

積地と揚地、それぞれの地点において、第三者機関による検量結果の証明書が必要となります。

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自然発火(Spontaneous Combustion)

化学品や石炭等はその性質上、一定の条件がそろうことにより、熱を発したり、発火を起こすことがあります。発火の原因は貨物毎で異なりますが、一度発火を起こすと、貨物は使い物にならなくなるだけでなく、貨物を載せていた船社から損害賠償を求められることがあります。
該当貨物・・・化学品、穀物、石炭

1.事故事例

石炭の輸送中、石炭が何らかの理由で発熱し自然発火温度に達したことで発火した。

2.海上保険での対応

  • ①貨物固有の性質に起因した事故となりICC(A)/(B) /(C) 条件のいづれでも担保されない危険となります。
  • ②Heating,Spontaneous Combustion特約の付帯により担保可能です。

3.補足

  • ・可燃性物質等の危険品に分類される貨物を運ぶ場合は船会社に対し危険品である旨の連絡が必要です。もし、連絡をせずに貨物を輸送し、損害が発生した場合、危険品であることを通知しなかったことに対し船会社から損害賠償を求められる可能性があります。
  • ・穀物等の場合、水分含有率が一定以下である事が引受や求償の要件となる場合があります。その際は、輸送開始前に第三者検査機関での水分値の検査結果の提出などが必要となったり、事故発生時に船積み前の貨物の水分値の提出を求められるケースがあります。

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カビ損害(Mold and Mildew)

輸送中に外来的事由により発生したカビ損害のことです。
該当貨物・・・繊維、織物、穀物類、食品など

1.事故事例

コンテナの天井に穴が開いており雨水などの侵入により貨物に水濡れが発生、それによりカビが発生した。

カビ損害

2.海上保険での対応

  • ①事故の発生原因が海上輸送中である場合に限りICC(A)条件にて担保可能です。
  • ②ICC(B) /(C) 条件では担保されない危険であるため、Mold and Mildew特約の付帯により担保可能です。

3.補足

  • ・カビは時間の経過によって発生するものであり、そのような時間の経過を原因とするカビは免責事由に該当し、保険金の支払いの対象になりません。
  • ・カビ損害を海上保険で対応するには、コンテナの穴あきによる水の侵入により貨物に濡れ損が発生し、その結果カビが生じた等の偶然・外来的な原因が認められる必要があります。
  • ・当該リスクの発生頻度や損失状況によっては、保険引受が難しい場合があります。

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specification offの損害(品質、品位に起因する損害)

納入時(Devanning時)の検査結果の数値が契約書上の基準に合致しないことで発生する損失のことを言います。
該当貨物・・・鉱石類、穀物類、化学品原料等、"原材料"に分類される貨物

1.事故事例

水分値に関する納入時の検査結果が、契約基準を上回っているため、契約書の規定に基づき損失が発生した。

2.海上保険での対応

ICC(A)/(B)/(C)条件に対しSpec-off特約を付帯する事で担保可能でとなります。

3.補足

  • ・当該リスクの発生頻度や損失状況によっては、保険引受が難しい場合があります。
  • ・検査業務の主体は一般的に第三者検査機関であり、納入先の検査結果は対象外です。
  • ・一般的にベースカバー(ICC(A))の上乗せで引受されています。

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